裏・ループの螺旋階段

どうもこんばんは、ループの螺旋階段です。旅行や出張で飛行機を利用する機会が非常に多いのですが、今回は飛行機が遅延した際の航空会社の補償などの対応について、実体験を元に解説いたします。今回はANAを例に取り上げますが、JALであっても対応は同様です。

 

 

航空会社から補償が受けられる条件

まず大前提として、下記の２つの条件を共に満たしていることが条件です。

• 航空会社責任に起因する遅延
  　※不可抗力要因に起因する場合は対象外
• 深夜の遅延により目的地への移動が困難

航空会社責任に起因する遅延

航空会社責任というのは、例えば機材故障やシステムトラブルなどを指します。これらが原因で機材繰りが困難となり、搭乗する便が遅延することが補償を受けられる１つ目の条件です。

ここで重要なのは不可抗力要因に起因する遅延は補償の対象外になるということです。不可抗力要因でもっとも多いのは天候を理由にしたものです。台風や大雪といった天候に起因する遅延は残念ながら、補償の対象外となります。

では、バードストライクや航空会社ではなく空港側のトラブルに起因する遅延はどうなるのでしょうか。航空会社から見れば不可抗力ではあるのですが、利用者側からは補償してほしいトラブルですよね。これは正直なところ、ケースバイケースです。地上係員の方を捕まえて確認するのが１番スムーズです。

深夜の遅延により目的地への移動が困難

どれだけ遅れても行き先の空港に乗客を届けることができれば、基本的に航空会社からの補償はありません。ただし、遅延により到着が深夜になることで、移動先の空港から目的地への移動が困難な際は補償を受けることが可能です。

 

補償内容

続いて航空会社から受けることができる補償を見てみましょう。下記の３パターンの対応のいずれかとなります。

• 他の便への変更
• 航空券払い戻し
• 宿泊費・交通費の立替

他の便への変更

ANAもしくはANAの連帯運送契約のある会社(※１)の別便への変更に際しては手数料が発生しません。なお、変更可能な便の対象は出発予定日から３０日以内の便です。

※１ ANAと連帯運送契約のある会社
・IBEXエアラインズ
・エア・ドゥ
・ソラシド エア
・スターフライヤー
・オリエンタルエアブリッジ
・JALグループ各社

また、変更に際して交通費や宿泊費が生じた際は、ANAが定める範囲（15,000円以内）で立替請求が可能です。こちらの詳細は後述します。

航空券払い戻し

払い戻しに際しては購入した券種に関わらず、取消手数料及び払い戻し手数料が生じません。支払い方法により対応が異なりますので、下記にまとめます。

• クレジットカード：クレッジトカード口座へ払い戻し
• 現金：口座振り込みにて払い戻し（手数料はANA負担）
• SKY コイン：SKY コインにて払い戻し
• マイル：マイルにて払い戻し

宿泊費・交通費の立替

航空機以外の公共交通機関への振替えを行った際の差額や振替えに際して発生した宿泊費・交通費をANAが定める範囲で立替請求することが可能です。

いずれのケースも予約便の出発予定日の10日以内にANAから配布される「立替費用精算書」をANAに郵送することで、指定した口座に立替金が振り込まれることとなります。（手数料はANA負担）

なお、立替費用の領収書は当然原本を添付して送付する必要があります。

 

 

欠航便の振替に伴う交通費・宿泊費

ケース①　他の公共交通機関への振替え

航空機以外の新幹線やバスなどの公共交通機関への変更の際は、航空券との差額がANAの負担となります。変更した後の運賃が航空券の運賃よりも高い（Ⅰ）か安い（Ⅱ）かで対応が異なります

1. 変更した交通機関の運賃の方が高い場合
   例えば、羽田空港から伊丹空港までの航空券(A)が1万円で羽田空港から品川駅までの電車代(C)、品川駅から新大阪駅までの新幹線(D)、新大阪駅から伊丹空港までの電車代(E)の合計が2万円の場合((A)<(C)+(D)+(E))。この場合は、ANAが差額の1万円を負担してくれます。なお、新大阪駅から直接梅田駅に行く場合は、その運賃(F)は新大阪駅から伊丹空港までの運賃(E)を上限に請求をすることができます。
2. 変更前の航空券の運賃の方が高い場合
   例えば、航空券が３万円(A)で振替え後の運賃が２万円((C)+(D)+(E))のケース。この場合((A)>(C)+(D)+(E))は、ANAが航空券を手数料なしで全額払い戻しをしてくれます。

ケース②　航空機と他の公共交通機関の組合わせへの振替え

予定と違う空港(函館空港)行きの振替え便に変更し、そこから目的地を目指すケースです。振替えした航空機の到着空港から振替前の予約便の到着空港までの公共交通機関への交通費(D)がANAの負担となります。羽田空港から函館空港までの航空券への変更に際しては当然費用は発生しません。

ケース③　振替えの結果、到着空港から目的地まで公共交通機関が利用不可

到着が遅い便への振替えの結果、電車やバスの最終便を逃すケースです。この際は、到着空港から目的地までのタクシー代(D)がANAの負担となります。この際の上限は15,000円となります。

ケース④　翌日以降の振替えのため、宿泊が必要

翌日の便への振替えの結果、宿泊が必要となるケースです。この場合は宿泊費(D)と空港と宿泊先の間の交通費((B)+(C))がANAの負担となります。

到着遅延に伴う到着空港から先の交通費

搭乗便の遅延により電車やバスの最終便を逃すケースです。到着空港から目的地までのタクシー代(D)がANAの負担となります。この際の上限は15,000円となります。

実体験

ANAから補償を受けられたケース

熊本空港から羽田空港に向かう際のケースです。この時は羽田空港の滑走路の一部が陥没し、一時的に閉鎖となっていたことが原因で機材繰りに影響が出て多くの便に遅延が生じていました。

私は最終便の羽田行きを予約していましたが、最終便の時点でも遅れは解消されず、私が乗る便は90分遅れで到着が24時予定になります。これでは、終電がなくなり、タクシーでしか自宅に帰ることができません。

当然、タクシー代をANAに負担してもらいたいところなのですが、遅延の理由が空港滑走路の陥没という航空会社からは不可抗力とも言えそうな理由です。結果的には、搭乗前にタクシー代や宿泊代の補償対象となるとアナウンスが流れ一安心。どの事象までが対象となるかはその時の現地での判断になるグレーゾーンな部分が多そうです。

ちなみに、補償対象となるフライトの際は搭乗前に手続きが記載されたリーフレットと立替費用精算書が配布されます。

リーフレット

立替費用精算書サンプル

ANAから補償を受けられなかったケース

就職活動の際に広島に行った際の経験です。当時、住んでいた北海道に戻ろうとしたところ、新千歳空港が猛吹雪で空港が閉鎖。予約している便は欠航が決まったということです。最終便で帰るつもりだったので、この便が欠航となると、当日中の移動は困難。ということで、宿を探す必要があります。

ダメ元で、宿泊するホテル代をもってもらえないかと掛け合ってみます。しかし、天候が理由、すなわち航空会社から見ると不可抗力の事情での欠航ということで取り合ってもらえず。近隣のホテルリストをもらえるのみで、予約も自分でしなければならないとのことです。広島が快晴なだけに、この余計な出費はどこか納得できなかったことを今でも覚えています。。。

LCCの対応は

安さが魅力のLCCはジェットスターを除いて補償対応は存在しません。このため、利用者として、このリスクを受容した上での安い運賃を選択する必要があります。

例えば、最終便など遅延による影響がクリティカルに出てくる便を利用する際はLCCの利用を避けるなどの工夫が必要かもしれません。

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